研究室
食品加工学研究室
食品加工学とは
我々は,泥臭い,魚臭い,
水産加工の現場に最も近い研究をしています!
食品加工学研究室では,安全かつ付加価値の高い食品 (主として水産食品)の製造プロセスを具体化するための食品設計技術の開発や製造プロセスにおける安全評価システムの確立を目指して,主として工学的視点からアプローチします。具体的には,原料や原料中の諸成分の加工特性の理解を通じて、原料から消費に至るまでの安全性に関わるプロセスの高精度な定量的解析,先端食品製造装置・システムの開発設計と操作特性,水産食品の低温利用に関する原理と先端技術など食生活の高品質化、多様化などに対応するため、付加価値が高い水産食品加工技術開発に関する総合的に教育研究を行なっています。これらの課題を解決すべく,当研究室では日夜研究に励んでおります。
現在,われわれ食品加工学研究室では、具体的には
① 水産ねり製品・冷凍すり身に関する研究
食品添加物や食品素材が,主原料である魚肉のゲル形成に及ぼす影響についての研究の他に,伝統食品である酢じめかまぼこの製造原理に関する研究や,魚油の乳化により機能性のみならず優れた食感を保持したかまぼこの研究,凍結耐性を高めたかまぼこの研究、高齢者など嚥下困難者にも食べやすいかまぼこの研究など、新たな水産ねり製品の開発に関する研究を行っています。また、練り製品は特徴的な物性を有していますが、これが塩味など呈味性の感じ方に及ぼす影響についての研究も行っています。
② 水産物を原料とした可食性フィルムの研究
冷凍すり身や水産加工ゴミ(魚の骨や皮など)を原料とした,環境中に捨てられても微生物が分解可能なフィルムの開発に関する研究を行っています。
③ 水産物の加工原料適性の研究
主に低・未利用魚類について,これらの加工原料適性の解明に関する研究を行っています。具体的には,水産ねり製品の原料としての向き、不向き、また、不向きな場合はどのような改良策があるか等について検討しています。
④ 水産物の鮮度管理による高付加価値化に関する研究
近年の研究により,冷凍水産物の品質は凍結条件や冷凍保管条件のみならず,対象となる水産物の生理的条件や漁獲条件,凍結前の処理条件等にも大きく影響されることが明らかになってきました.当研究室では、マグロやサバなど産業上の主要魚種について、その漁獲後処理や解凍条件によって品質をコントロールし、高付加価値化するための研究、またその品質を非破壊で計測する技術の研究も行っています。
⑤ 水産食品加工中のメイラード反応と褐変に関する研究
水産物乾製品の製造中メイラード反応により褐変が起こり,製品の価値に関する要因となっています。付加価値向上のため,水産物乾製品製造中の褐変を制御する技術についての研究を行っています。
⑥ 海洋環境改善のための水産利用学的観点からの総合的な研究
大きな意味での水産業の一部としての水産利用学の意義は重要であると我々は考えています。そのような観点からの研究の一つに、磯焼け原因生物の有効利用法の研究があります。「磯焼け」とは,有用魚介類の成育の場として,また,海水浄化機能として重要である沿岸海域の藻場が消滅する現象であり,世界中で最も深刻な環境問題の一つとされています。この原因は未だ未解明の部分が大きいとされていますが,確実な一つの原因として,生物による海藻の食害が挙げられています。この生物には,近年の海水温を中心とした海洋環境の変化により,繁殖活動が活発となったアイゴ,イスズミ,およびブダイ等の魚類,ムラサキウニ,およびガンガゼ類等のウニ類が挙げられています。一方で,これら魚類については,特有の臭気を有するため,そのままでは食用に適しません。これら未利用・低利用の魚類やウニ類に,加工技術を駆使することによって付加価値を与え,食用としての利用度を高めることができれば、漁業による漁獲対象種とすることが可能となり、増えすぎた資源量を適切な範囲にまで減らすとともに、環境問題の解決にも寄与できるものと考えています。
など,低・未利用水産加工原料を生かし,水産加工業界の現場に近いところでの幅広い研究を行なっております。
近年,海洋における環境問題,食品の安全・安心に関する諸問題,将来的に予想される食糧難がクローズアップされています。これらを一気に解決し,人類が永続的に生き長らえるには食品加工学の立場から何が出来るかを皆さんと一緒になって考えていき,世の中に具体的に貢献できるような研究成果を残していきたいと思っております。
指導教員
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大迫 一史(オオサコ カズフミ)
OSAKO Kazufumi
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職名: 教授
研究テーマ・キーワード:
水産加工残滓の有効利用法開発、海洋環境、可食性フィルム、生分解性フィルム
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耿 婕婷(コウ ショウテイ)
GENG Jieting
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職名: 助教
研究テーマ・キーワード:
食品科学 、水圏生命科学