研究室

食品プロセス工学研究室

食品プロセス工学研究室では、「高品質で安全な食品を効率よく生産できる製造プロセスの実現」を目標に掲げ、食品製造工程上で問題となる各種の課題の解決に向けて、化学や物理学を基盤とした工学的観点からの研究を行なっています。具体的な研究テーマは下記の通りです。

1:食品製造機器の洗浄に関する研究
食品の製造が大規模化し、流通が広域化するのに伴って、製造の過程でひとたび事故が起こると、大規模な食中毒が発生するなど、その影響が広域に及ぶようになっています。食中毒のような事故の発生を防止し、安全な食品を製造するためには、衛生的な製造環境の確保が必要であり、したがって食品製造終了後に行なわれる装置・機械・器具の洗浄操作の重要性を再確認する必要があります。これまで以上に確実な洗浄が必要とされる一方で、現状の洗浄工程では多量の水・エネルギー・洗剤が使用されており、地球環境保全の観点から、これらの削減をするための方策も求められています。本研究室では、洗浄対象である汚れ(食品残渣および食品成分)の機器表面に対する付着挙動を多様な科学的手法を用いて解析し、その結果を踏まえた汚れの付着防止法の構築や洗浄条件の見直しを行っています。また、洗浄用水を大幅に削減可能な新たな洗浄方法の開発にも取り組んでいます。
2:機器表面に対する微生物の付着とその生育に関する研究
食品由来の汚れとともに、微生物が機器表面に残ると、条件によっては微生物が増殖して食中毒や品質劣化の原因になります。本研究室では、芽胞菌、大腸菌、腸炎ビブリオなどの細菌を対象として、どのような条件でこれらの細菌が食品機器表面に残存しやすいのかを明らかにするべく、各種素材の表面に対する付着特性や洗浄時の脱離挙動を解析しています。また、残存した微生物が生育するための環境条件の把握や、新規で簡便な殺菌手法の開発にも取り組んでいます。
3:ニューラルネットワークを利用した工程のモデル化に関する研究
加熱殺菌は製造・流通が大規模化・広域化された食品に必須の工程です。しかし、加熱のしすぎは、熱に弱い栄養素の破壊を進めるなど、食品の品質低下を招きます。殺菌に十分かつ品質低下ができるだけ少なくなるように加熱を制御するためには、加熱時の食品内部の正確な温度予測が必要になります。本研究室では、レトルト加工中の食品内部の温度について、ニューラルネットワークという非線形モデリング手法を用いた予測モデルについての研究を行っており、そのモデルを基盤として高品質で保存可能な食品の製造に貢献したいと考えています。これとは別に、機器表面に残存した微生物の生育挙動についてもニューラルネットワークによるモデル化を試みています。
4:凍結食品内の氷の再結晶化の抑制に関する研究
冷凍食品やアイスクリームなどの冷凍保存される食品内では、保存時間とともに氷の結晶成長(再結晶化)が自発的に起こります。食品内の小さな氷結晶が大きくなることによって、食感が悪くなったり、細胞内液などに由来するドリップの量が多くなったりして、食品の品質が低下します。本研究室では、高品質のままでより長期の凍結保存を可能にするために、不凍タンパク質(Antifreeze Protein=AFP)を利用して氷の再結晶化を抑制する技術の開発に取り組んでいます。AFPとは、北極海など寒冷な環境に生きる生物が体内に持っている氷の再結晶化抑制作用のあるタンパク質のことで、構造の異なる数種のAFPがこれまでに知られています。その濃度や構造と抑制効果の相関や、抑制のメカニズムの解析、安価なAFP生産プロセスの構築などが課題となっています。


指導教員

研究室ホームページ

  • 萩原 知明(ハギワラ トモアキ)

    HAGIWARA Tomoaki

  • 職名: 教授

    研究テーマ・キーワード:
    洗浄、衛生管理、定置洗浄(CIP)、アレルゲン、氷結晶、再結晶化、不凍タンパク質

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  • 柴田 真理朗 (シバタ マリオ)

    SHIBATA Mario

  • 職名: 准教授

    研究テーマ・キーワード:
    非破壊計測、多変量解析、ケモメトリクス、高アミロース米、感性工学

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